2015年5月13日水曜日

アクセラに1.5Lディーゼルエンジンを搭載できるか

1.5Lディーゼルエンジンは当初アクセラに搭載する計画だったみたいな噂が時折出てきますが、本当にそうなのでしょうか。もしアクセラに1.5Lディーゼルエンジン車が出るのだったら購入候補に入れたいと思っていましたので、気になるところです。

いろいろな記事を見ていると、当初は1.6Lディーゼルエンジンを開発していたものの、インドの税制に合わせて1.5Lにすることになったとのことで、結局デミオに最初に搭載されました。デミオに1.5Lディーゼルエンジンを搭載すると、トルクにはかなり余裕がある反面、パワーはやはり排気量相応の感があります。

CX-3に1.5Lディーゼルエンジンを搭載するにあたっては、出力はそのままですが、過給圧を上げることでトルクを270Nmにしましたが、デミオディーゼルよりも130kg重くなっていることもあり、走りはややおとなしめのようです。エンジン以外の重量で比較するとアクセラはCx-3よりも110kgくらい重くなり、デミオよりも240kgくらい重くなります。しかも4WD仕様だとさらに重くなります。いくら低回転でのトルクの太いディーゼルエンジンとはいっても、アクセラに搭載するためにはローギアードにして高速域での余裕を切り捨てる必要がありそうに見えます。

低速域での出足は1.5Lガソリンエンジン車と同等かやや劣るくらいで、高速域での加速は2Lガソリンエンジン車と同等くらいのスペックでしょうか。しかし、フロントヘビーになりますので、2Lガソリンエンジン車よりも高価でありながら2Lガソリンエンジン車よりも走らない曲がらない車になってしまいます。ガソリンエンジンなら低出力であっても回転数を上げることでパワーを絞り出せますが、ディーゼルエンジンはそのような使い方に適しません。ディーゼルエンジンの優位性は長距離巡航にありますが、ガソリンエンジンでも2Lあれば十分に高速道路で走れます。それなら敢えて高価なディーゼルエンジンを搭載する意味がありません。

あるいは、アクセラに1.5Lディーゼルエンジンを搭載すれば、欧州向けに税金対策で出力を減格した車を作りやすいかもしれませんが、せっかくの節税のメリットも車両価格の高さで相殺されてしまいますので、経済的合理性がありません。そんなことをするくらいなら最初から2Lガソリンエンジンの制御ソフトウェアをいじる方が楽です。

当初の計画通り1.6Lエンジンとして開発されていれば状況は違ってきたのでしょうが、1.5Lディーゼルエンジンをアクセラに搭載するのは残念ながら難しそうです。アクセラやプレマシー(の後継車)向けでしたら1.8Lくらいがちょうどよいのかもしれません。

敢えて高価なディーゼルエンジンを搭載するならそれに見合った価値が必要です。アクセラに2.2Lディーゼルエンジンを搭載すれば圧倒的なパワーとトルク、重い車体によるしなやかな足、CX-5よりも重心が低く、アテンザよりも小回りが利くという価値があります。デミオに1.5Lディーゼルエンジンを搭載すればコンパクトカーでありながら長距離巡航に適した車になります。

また、車の性格によるところもあって、デミオやプレマシー(ないしその後継車)でしたら、いろいろ我慢しても実用上差し支えなければ十分でしょうし、デミオの価格でしたら特定の用途に特化しても仕方ないと思えますが、アクセラはそういう車ではないと思います。

【追記】
結局、DE精密過給制御等の様々な改良を施された上で1.5Lディーゼルエンジン車が出ましたが、煤対策もあり、また2.2Lディーゼルエンジンの出力向上もあり、1.8LディーゼルエンジンがCX-3に搭載されることになりました。